ReFaが5,000円の水を売る理由――高価格戦略の背景をマーケティング視点で考察

概要:なぜReFaは「水」に5,000円という値札をつけたのか

高級美容ブランド「ReFa(リファ)」が、一本5,000円(税込5,400円)という超高額のボトルウォーター「ReFa WATER Premium70」を発売し、大きな話題を呼んだ。 美顔ローラーや美容家電で知られるReFaが、なぜ突然、水という商品を高額で売り出したのか。
本稿では、ReFaのターゲット層やこれまでのブランディング戦略、今回の高価格水による話題効果、過去の類似事例との比較、そして売上よりもブランド価値向上を狙った可能性まで、マーケティングの視点から整理する。
ReFaのターゲット層とプレミアム志向のブランディング戦略
高級志向のブランドコンセプトと製品展開
ReFaは2009年に1本の美顔ローラーからスタートし、「眠れる生命美の覚醒」をコンセプトに革新的な美容アイテムを次々と投入してきた。 現在は美顔器や美容家電、化粧品、インナービューティー商品まで約50種類以上を展開し、2018年には累計1,000万本出荷を達成するなど、大ヒットブランドへと成長。

創業当初から比較的高価格帯に位置づけながらも、技術力とデザイン性を両立させることで、美容意識の高いユーザーを着実に取り込んできた。
「手が届くラグジュアリー」戦略
ReFaの商品価格は、いわゆる超富裕層向けハイジュエリーほどではないものの、頑張れば手が届くアフォーダブルラグジュアリーレンジに設定されています。例えば美顔ローラーは2〜3万円台、ドライヤーは4〜5万円台。 自分へのご褒美やパートナーへのギフトとして心理的に受け入れやすいゾーンだ。
ターゲットの中心は、美容にお金をかけることをいとわない20代後半〜40代以上の女性。「毎日使うものだからこそ、高機能でデザインも妥協したくない」という層に向けて、ReFaは高付加価値商品を揃えてきた。
高品質と洗練デザインによるブランド構築
ReFa製品のもう一つの柱が、プロも認める機能性と所有欲をくすぐるプロダクトデザインだ。 美容師との共同開発で生まれたヘアドライヤーは約4万円という価格にもかかわらず、 サロン級の仕上がりとモノトーン+ピンクゴールドといったカラー展開で大ヒット。

代表製品のReFa CARATは23,800円(税抜)ながらグッドデザイン賞を受賞し、海外セレブへのギフト提供や著名人の愛用によって、 ReFaはプレミアムだけど身近な美容ブランドとしての地位を築いてきた。 近年ではブランド単体で700億円超の売上を叩き出し、親会社の成長を牽引する存在になっている。
5,000円の水が生んだ話題効果とEarned Media(アーンドメディア)
「ReFa WATER Premium70」の商品概要
「ReFa WATER Premium70」は、富士山頂付近の地層中の永久凍土の下で約70年かけて磨かれた天然水を使用したプレミアムウォーター。 内容量は720mLで、価格は税込5,400円。ReFa最大級の旗艦店として11月15日にオープンした「ReFa GINZA」限定で販売がスタート。

これは、希少素材の探求や伝統技術との融合、クリエイターとの協業で「これまでにない商品体験」を生み出す新ラインReFa Collectionの第1弾として位置付けられている。つまり単なる飲料ではなく、ブランドの新たな挑戦を象徴するアートピースに近い存在。
SNSでの爆発的な反響と炎上ギリギリの空気
発売発表直後から、「水に5千円!?」というインパクトがXを中心に一気に拡散され、 「#リファの5000円の水」といったワードがトレンド入り。 産経新聞系メディアの分析によると、SNS上の反応は約9割が批判的で、「高すぎる」「情弱ビジネスだ」など辛辣なコメントが目立っていた。
一方で、「一度は飲んでみたい」「Fillicoの水よりは安い」といった興味・擁護の声も少数ながら存在した。 肯定派の多くは「ReFaのシャワーヘッドやドライヤーは愛用している」と語る既存ファンで、 ブランド全体への好意が今回の水にも延長されている構図が見て取れる。
メディア露出とEarned Media Value(EMV)
SNS上で炎上ギリギリの盛り上がりを見せたことにより、WWD JAPANをはじめとする業界メディアやトレンドサイト、テレビ情報番組が 相次いでこの話題を取り上げた。「SNSをざわつかせたリファの5000円の水」といった見出しで、 世論の声をまとめる記事も多数公開されている。


BuzzFeed Japanでは実際に買って飲んでみたレポート記事が公開され、「初体験の味」と評価。 こうした記事・番組を広告換算したEarned Media Value(EMV)は、筆者の試算では少なくとも数億円規模に相当すると考えられる。 否定的な声が多かったとはいえ、「ReFa」というブランド名はそれまで届いていなかった層にも一気に浸透した。
売上よりブランド価値向上が狙い?――キャンペーンの真の目的
銀座旗艦店ローンチの話題作りとしての「呼び水」
ReFa WATER Premium70は、銀座の新旗艦店「ReFa GINZA」でのみ販売される限定商品。 つまりマス向けの売上を狙ったというより、新店舗オープンの話題を最大化するプロモーション装置として設計されていたと考える方が自然だ。
仮に水そのものがそれほど売れなくても、「リファの5,000円の水」がバズったことで ReFa GINZAへの来店動機が生まれ、他の美容機器やコスメの購入に繋がれば投資として十分ペイする。
ラグジュアリーブランドとしての価格戦略を再定義
ReFaはもともとプレミアム路線のブランドでしたが、5,000円の水という常識外のプライシングによって、ブランドのラグジュアリーイメージをさらに強調した。
SNSで最も声を上げたのは、そもそもReFa商品を買っていない層である可能性が高く、 逆に既存ファンや富裕層顧客にとっては 「そこまで尖った商品を出すブランドである」というポジティブな印象にもなり得る。 ハイブランドでは「あえて賛否両論を呼ぶ施策」でコアファンとの結束を強める戦略をすることがある。
新ライン「ReFa Collection」の存在感づくり
ReFa自身が「ReFa Collection」をブランドの新たな可能性を切り拓く挑戦と位置付けていることからも、 今回の水はイノベーションとブランド刷新の象徴であることがわかる。
成熟ブランドにとって最大の敵はマンネリ。異色の高すぎる水は、 ReFaはまだまだ予想外のものを見せてくれるブランドというメッセージを市場に投げる役割を果たした。
EMV最大化という投資判断
5,000円の水そのものの利益は限定的ですが、SNS・ニュース・テレビ露出まで含めたEarned Media Valueを考えると、 ReFaにとってはかなり費用対効果の高い“広告投資”だった可能性がある。
現代のマーケティングでは、無料で得た露出(フリーの広告効果)が製品売上を上回る価値を持つことも珍しくない。 ReFaはそれを見越して、プレミアムウォーターを文字通りマーケティング上の呼び水として投入したと見ることができる。
おわりに:プレミアム戦略がもたらすブランドの未来
5,000円の水という突飛な試みは賛否両論を巻き起こしましたが、 マーケティングの観点からはブランドの格を再確認させ、話題性による認知拡大を狙った戦略的な一手と評価できる。
ReFaはこれまで培ってきたプレミアムブランド路線をさらに押し上げ、 「ReFa=常に驚きと高品質を提供するブランド」という印象を強めた。 短期的には「高すぎる」という批判も浴びましたが、長期的には他の製品群の訴求力向上や新規顧客獲得に繋がる可能性がある。
一方で、高価格戦略にはブランド毀損のリスクもある。 否定的な声が多数を占めると、ブランドへの不信感を生む可能性もあるため、 ReFaに求められるのはこの話題を一過性で終わらせず、今後も製品クオリティやサービスで期待を上回り続けることだ。
近年のヘアケア製品のヒットや業績好調を見る限り、ReFaのブランド力は依然強固。 今回得たEarned Mediaを追い風に、どのように次の一手へつなげていくのか。 高価格×話題化のプレミアム戦略は、日本発ブランドのグローバル展開における重要なケーススタディになっていくだろう。
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高価格で話題を狙う商品施策:伊勢丹の高級果物、Diorの香りの水、Fillico
ReFaのように、あえて非常識な高価格を設定して話題を喚起する手法は他社にも存在する。 ここでは百貨店の高級フルーツ、Diorのベビー用フレグランス、超高級ウォーター「Fillico」と比較。
百貨店の高級フルーツギフト
伊勢丹新宿店では、宮崎県産マンゴー2玉入りギフトが税込1万円超、さくらんぼ300gと花束のセットが税込1万2千円台と、 日常使いからはかけ離れた価格の商品が展開されている。 それでも「特別な贈り物」として根強い需要があり、毎年「◯◯万円のメロンが売れた」とニュースになることで、 百貨店と産地のブランド価値を高めている。
Diorのベビー用「香りの水」
フランスのラグジュアリーブランドDiorは、ベビー向けスキンケアラインの中で230ドル(約3〜4万円)の「ベビー ディオール ボンヌエトワール」を発売。大人向け香水より高額な、赤ちゃん用の香り付きウォーターという意外性が、 各国メディアで大きく報じられた。
Dior側は1970年代のベビー用フレグランスの復刻としてストーリーを付与し、名入れボトルなどギフト需要を訴求。 実際に上顧客の話題に上り、ブランドの格を再確認させる役割を果たした。
超高級ミネラルウォーター「Fillico」の事例
日本発のラグジュアリーウォーターブランド「Fillico(フィリコ)」は、スワロフスキーで飾られた王冠付きボトルで知られ、 1本1万6,500円〜5万円超という価格帯で販売されている。 「世界一高い水」としてテレビや雑誌に何度も取り上げられ、「高級水=Fillico」というポジションを確立した。
ReFaの5千円水はFillicoの約3分の1の価格とはいえ、どちらも「原価の低い水」にストーリーと装飾価値を付与し、ニュースになる価格に跳ね上げた点で共通している。 価格そのものがPR装置となり、ブランド名の想起を高める役割を果たしている。